家いくら?|住まい・暮らしのコラム
2020年のオリンピック開催まで3年余りとなり、街中を見回せば道路や関連施設の工事が進んでいます。
東京は2回目のオリンピック開催。前回、1964年のオリンピックの前にも、東京は建設ラッシュがありました。新幹線や首都高がオリンピックに合わせて建設されたことは有名ですし、青山通りの拡張や環状七号線の建設などの道路もそうです。今では老舗の名門ホテルであるホテルニューオータニやホテルオークラ東京、ヒルトンホテル東京(現:ザ・キャピトルホテル東急)もオリンピックに合わせて開業しました。「オリンピックによって現在の東京のカタチがつくられた」という言葉も大袈裟ではないほどの変貌ぶりだったのです。
では、東京で開かれる二度目のオリンピックで東京はどのように変わるのでしょうか?
おそらく一番変わるのは湾岸エリアでしょう。選手村は晴海ですし、大会会場の多くが有明や台場エリアに設置される予定です。この湾岸エリアについて、現在どの様になっているのか、これからどうなるのか?3回に分けて紹介します。初回は主に江東区のエリアを紹介します。
湾岸エリアの発展が一番分かる街が豊洲です。立ち並ぶタワーマンションは湾岸エリアの発展ぶりを象徴しているかのようです。かつては造船所や工場が街の多くを占める工業エリアでした。それらは1990年代に移転し、その跡地に『アーバンドッグららぽーと豊洲』が建設されました。そしてタワーマンションも多数建設され、住民数も大きく増えました。2016年の東京メトロの乗降客数ランキングでは豊洲は9位。乗換駅である高田馬場や飯田橋、有楽町などよりも既に乗降客数が多くなっています。
豊洲の開発は現在も進行中です。駅前広場そばに残っていた未利用地は「豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」として建設中。大規模なオフィス、商業、そして33階以上はホテルとなる予定で、2020年から21年にかけてオープンする計画です。
豊洲の話題といえば、豊洲6丁目に建設された中央卸売市場も気になります。2016年11月開場予定でしたが、2017年3月現在、築地からの移転は延期されたままになっています。
豊洲エリアで過去10年の間に分譲されたマンションを振り返れば、2006年の『パークシティ豊洲』に続いて『シティタワー豊洲ザ・シンボル』『シティタワー豊洲ザ・ツイン』『ザ豊洲タワー』などが建設されました。最寄り駅はゆりかもめの『新豊洲』ですが『スカイズタワー&ガーデン』『ベイズタワー&ガーデン』も話題になりました。
2015年の『パークホームズ豊洲ザ・レジデンス』で新規マンション供給は一段落しています。しかし豊洲5丁目で東急不動産、NIPPO、大成有楽不動産が地上50階、総戸数約1200戸のタワーマンションを計画していることが業界紙で報道されています。着工や発売は2018年以降の予定です。
豊洲の東隣にある街が東雲(しののめ)です。夜明け前に茜色に染まる空を意味する言葉。とても良い地名ですね。
1990年代までは、豊洲同様に工場や倉庫の街でした。鉄鋼所跡を都市公団(現:UR都市機構)が開発に着手しました。『東雲キャナルコートCODAN』とネーミングされたその街区は中央に広場、その周りに商業施設(イオン)と賃貸住宅棟が設置されました。さらにその後背の運河沿いには民間が開発する分譲のタワーマンション群が建設されました。その第一弾であった『Wコンフォートタワーズ』は本木雅弘の広告で大変話題になりました。
この10年間で分譲された主なマンションは『キャナルファーストタワー』『アップルタワー東京キャナルコート』『ビーコンタワーレジデンス』『プラウドタワー東雲キャナルコート』『パークタワー東雲』『ザ湾岸タワーレックスガーデン』などです。
キャナルコート内の開発は終了していますが、その外では開発が続いています。具体的な計画は公表されていませんが、イオン東雲店の晴海通りをはさみ西側にあった三井造船の倉庫が昨年売却されており、マンションを含む開発になる模様です。
東雲からお台場方面へ移動すると有明です。2020年のオリンピックでは多数の会場が設置され、大会の中心となるエリアになります。
1990年代までは『テニスの森』以外はいくつか倉庫があるばかりでしたが、やはり2000年代にタワーマンションが建設されるようになり、街が徐々につくられました。まだまだ空地が多いですが、2020年には会場周辺の整備も進み、商業施設もさらに増えると考えられます。オフィスについても『ユニクロ』で知られるファーストリテイリングが2017年にオフィスを移転させています。有明こそ東京の中でもっとも未来を感じることが出来るエリアかもしれません。
有明エリアの分譲マンションを振り返ると、マドンナをイメージキャラクターに採用した2007年分譲の『ブリリアマーレ有明』は強烈な印象でしたね。今後も大規模なマンションの建設が予定されています。住友不動産が2017年に販売する『(仮称)東京ベイ トリプルタワープロジェクト』は3棟で1,539戸という湾岸でも有数の大規模マンションになります。
1990年代、湾岸エリアといえばお台場でした。フジテレビの移転、そしてテレビドラマ『踊る大捜査線』のヒットにより良く知られるようになりました。しかし、お台場にある企業はフジテレビだけではありません。昭和シェル石油、サントリーHD、太平洋セメントなどの有名企業がオフィスを置いています。
私たちはあの一帯を全て「お台場」と呼んでしまいますが、実際の住所はフジテレビがあるあたりだけが「港区台場」です。ヴィーナスフォートがあるのは「江東区青海」、船の科学館があるのは「品川区東八潮」です。
元々観光地の印象が強いお台場ですが、これからも都外、国外からの集客を狙い開発が続きます。外国人観光客にも人気だったガンダム像は撤去されましたが、次のプランがあるようです。先日閉館した「シネマ メディアージュ」も「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」としてリニューアルオープンしました。お台場もオリンピックを控え、建て替えや改修による再整備が当分続きそうです。
住宅があるのはお台場臨海公園の近くで、UR都市機構や東京都住宅供給公社の賃貸タワーマンションが並びます。しかし分譲マンションは『ザ・タワーズ台場』があるのみです。東京都が定めた都市計画から考えて、今後も分譲マンションが建設される可能性は低いと思います。